カトレヤのシェード管理と冷房室の利用

カトレヤのシェード管理と冷房室の利用

はじめに

 前回は春咲き品種の電照による開花の抑制と促進について書いたが、今回は電照+シェードによる超抑制(秋から冬開花)と、カトレヤ栽培における冷房室の利用方と効果について書いて見たい。 

 

シェードによる開花コントロール

 春咲き品種(アイリンフィニーなど)を3月始めまで電照すると8月上中旬に開花するが、それ以降に開花させようとすれば、電照を止めても日長が長くなるため花芽を分化させる事ができない。そこでシェードによる短日処理が必要となる。
 私の農場ではシルバーポリの0.01㎜を使い、ベンチ下30㎝位まで覆う。ベンチに枠を付けてシェードをする場合、葉からあまり離すと光が回折して入って来るため、明るくなってしまう。葉に支柱が立ててあればベタ掛のほうが確実である。 シェード時間は15から16時間で、期間は40日位がよいと思う。実際の花芽分化は条件(バルブの塾度と気温)が揃っていれば25日程度でも効果があるが、確実に全ての株を花芽分化させるためには、40日程度が適当と思われる。 
 また、過剰なシェード期間は花芽分化後の積算日照量を少なくしてしうため、開花が遅れる原因になる。春咲き品種を8月下旬から10月中旬頃までの生産が不安定な時期に開花をさせるには、3月10日頃からシェードを開始して、ベンチ毎に7~15日程度の間隔で順次シェードを開始して行く。

 

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シェード栽培の様子

森田洋蘭園では、シルバーポリの0.01mmを使い、ベンチ下30センチぐらいまで覆う

 

 アイリンフィニーの場合、3月10日頃からシェードを開始した株が8月中下旬の開花になり、4月下旬にシェードを開始した株は10月下旬の開花である。 これ以降は秋咲き品種も多く安定した出荷も望めるので、春咲品種を抑制する必要性も薄れてしまう。それでも、色彩や品質などの理由で、あえて春咲き品種を咲かせようとするなら、5月頃から気温が上昇した時には、クーラーにより室温を適温(昼間24~25℃、夜間17~18℃)まで下げてシェードをする必要がある。
 また、3から4月にシェードをした株も、シースの中で蕾が生長する頃には、気温が上昇するのでクーラーで適温に管理しないなければ、品質の低下は避けられない。
 

 

カトレヤ栽培での冷房室の利用

 ファレノプシスでのクーラー室の利用は大変普及しているが、カトレヤでは全国的に見てあまり多く普及しているとは言えない。しかし、カトレヤを周年安定した生産を行うには、クーラーの利用は不可欠である。

 メリットの1つは、夏場の品質向上である。30℃を越える室温で開花させると花径も小さくなり、後ろに反り返ってくる。また、花痛みも早くなりロスが多くなる。クーラーで室温を下げてやる事で、品質を維持することができる。

 二つ目は、外部から入り込んで来るスリップスやヨトウムシなどの害虫の被害を防ぐ事ができる。

 3つ目のメリットは、開花コントロールである。春咲き品種の高温時のシェードを可能にする。また、秋咲き品種の花芽分化を促して開花を促進させることができる。秋咲き品種は低温に対して反応が良く、シェードを掛けなくても室温を下げるだけで花芽分化が可能である。

 具体的には7月中旬からクーラー室(昼間24~25℃、夜間17~18℃)に入りると、開花が1ケ月から1.5ケ月早くなる。同一品種を順次クーラー室に入れて行けば平均した出荷が可能になる。

 

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冷房室の利用 補足

 カトレヤの冷房室は胡蝶蘭よりも明るくする必要がある。 したがって、クーラーの出力も面積当たり大きな物が必要となる。

 具体的には出力に対して冷房可能な面積は、1馬力当たり12㎡から14㎡くらいである。天窓は開け、透明カーテン(ポリ系フィルム)を閉めた状態で冷房する。遮光はカーテンの外(出来れば外部遮光)で光の強さに応じて開け閉めする。遮光率は35%から45%のネットを2枚用意して、光の強さに応じて開閉する必要がある。

 

 

 

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